本研究課題では、高度な経済成長を実現した中国経済における過剰資本蓄積の背景、メカニズムおよびその厚生損失について議論を展開している。本研究の主な特徴は、生産要素市場の歪みと政府関与に注目している点である。多くの先行研究と違って、労働市場・資本市場の歪みと政府関与を同時に組み入れ、標準的な成長モデルを拡張した。構築した新たなモデルは、1990年代以降に中国経済において観察される高度な経済成長、旺盛な資本投資及び過少消費現象を再現したと同時に、モデルに基づき社会全体で被った厚生損失を計測した。研究課題期間中に3本の論文を執筆し、学術雑誌から公刊した。
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