研究実績の概要 |
本研究は、評価と行動傾向の2つの軸を用いて、「食事」、「体型・体重」に対する潜在的態度と食行動異常の程度の関連性について記述的に検討することを目的とした。 方法として,食に対する潜在的認知をIAT課題を用いて測定した。具体的には、「概念刺激」として食品画像、「評価」および「行動傾向」の帰属を示す刺激語として文字画像(「近づく」、「避ける」など)を提示した。また,課題実施中の脳波は,計19箇所に装着した記録電極から事象関連電位を記録した。食行動異常に関する顕在指標は,むちゃ食いの程度,ダイエット行動などを測定する質問紙を用いた。群分けは,EDE-Qにおいて、過去28日間において過食をした回数が1回以上の者をOverEating群、0回の者をNon-OverEating群とした。 現在データが得られている11名を対象に,群を独立変数、対数変換した反応時間を従属変数とした2要因の分散分析を行った結果、群の主効果のみ有意であった(F( 1, 49 )= 10.0, p = .011)。このことから,刺激の組み合わせに関係なく、Non-OverEating群と比較して、OverEating 群は刺激に対する反応が遅いことが示された。また、顕在指標において、Overeating群はNon-overeating群と比較してダイエット行動得点が高い傾向(p = .07)が視察された。これらのことから、Overeating群は、普段から「食べたいけど我慢する、けど食べたい」という食物に対する接近と回避の間で葛藤を感じており、その迷いの程度が反応潜時の長さに反映された可能性がある。脳波指標に関しては,個別データでの分析にとどまっているため,今後さらに実験参加者を増やして、関連陰性電位の発生源の推定などを検討していく必要がある。
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