研究課題/領域番号 |
26885121
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 修紅短期大学 |
研究代表者 |
本山 敬祐 修紅短期大学, その他部局等, 講師 (50737640)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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研究課題ステータス |
採択 (2015年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2014年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 不登校 / 公教育制度 / フリースクール / ガバナンス |
研究実績の概要 |
平成26年度は主に次の2点について研究計画のとおり遂行した。(1)教育行政による不登校対策における官民の相互作用にに関する事例調査:秋田県教育委員会が構造改革特別区域制度を活用して設置した「スペース・イオ」を視察し、設立の経緯について「スペース・イオ」の職員に対するインタビュー調査と新聞記事等の資料収集を行った。県立高校の中に義務教育段階の不登校児童生徒の学習を支援する公的機関が設置されている事例は珍しい。この「公的なフリースクール」が設立された背景には、県内で不登校児童生徒を支援するNPO法人による教育行政への提言と教育行政による積極的な学習が行われたことが確認された。現在も教育行政とNPO法人との協働による運営がなされており、「スペース・イオ」のモデルは県内でも広がりをみせている。教育行政と「フリースクール」の協働について検討するうえで、秋田県の取組みは示唆深い。 (2)「不登校児童生徒に対する支援機関に関する官民比較調査」の報告書発行:不登校児童生徒に対する第一線の支援機関である教育支援センター(適応指導教室)と「フリースクール」を対象として平成25年度末に実施した質問紙調査について、集計結果と基礎的な統計分析を行い報告書にまとめた。従来学校教育に批判的とされる「フリースクール」は、学校復帰ではない不登校児童生徒の支援のためであれば、学校や教育行政との連携に対して意欲的であることが明らかとなった。また、教育支援センター(適応指導教室)の職員のうち、「フリースクール」との接触経験がある者は、そうでない職員と比べて「フリースクール」に対する信頼度が高い傾向があることが明らかになった。本調査結果から示唆される政策上の課題のひとつとして、教育行政職員が「フリースクール」の職員がもつ意欲を不登校児童生徒への支援にいかに活用していくかがあげられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は所属機関の変更により、研究環境と研究資料の整備に時間を要した。事例分析の視察件数は予定より少ないものの、文部科学省が実施した「文部科学省全国フリースクール等フォーラム」やに参加したことで、全国の実践や現在の政策課題について理解するうえで研究計画の策定時には想定していなかった機会に恵まれ、効率的な情報収集ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
「フリースクール」が新たな教育機関として制度化される可能性がにわかに高まるなかで、平成26年度の研究結果をもとに次の2点について取組んでいく。 (1)教育行政による不登校対策にみられる官民の組織間学習について、事例分析の更なる蓄積を行う。都道府県および政令市における不登校対策事業を概観し、教育行政と「フリースクール」の協働による不登校対策事業が現在の日本でどの程度進展しているのか、また、ありうべき選択肢が何であるかを明らかにする。 (2)「不登校児童生徒に対する支援機関に関する官民比較調査」から得られた結果について、報告書の更なる分析を行い、教育支援センター(適応指導教室)と「フリースクール」それぞれについて、教育実践や支援上の理念に関する特質を明らかにする。
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