苛立ちは日常的に感じる不快な感情であるが,心理生理的背景はまだ明らかでない。本研究では,2つの実験を通じてゲーム中の苛立ちと,それに関連する不快情動が脳活動に及ぼす影響について検討した。実験1では,5名の被験者がゲームを行っている間の脳波を測定した。ゲーム中に生じるコンピュータの不調は,被験者の不快感情や敵意を増大させ,脳波のθ波活動を低下させた。実験2では,54名の被験者が快・不快・中性的な感情を引き起こす画像を注視している間の脳波を測定した。不快感情は,画像提示後0.4秒以降に出現する脳波活動を増大させた。以上の結果から,苛立ちは,比較的早い時間帯から脳波活動に影響することが示された。
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