研究課題
研究活動スタート支援
ラジカル対のスピン選択的な化学反応について,ラジカル対のスピン状態と電荷再結合生成物との間でのコヒーレンスの生成の有無を明らかにする事を目的として,理論,実験の両面からの研究を行った.ラジカル対のダイナミクスとして理想的に振る舞うC-P-F(カルテノイド―ポルフィリン―フラーレン)三元分子系の強磁場中における化学反応動力学を観測する事により,申請者が提案する理論モデルとの関係を実験的に明らかにする事を目的とし,実験結果と理論との関連を以下の様に検討した.スピン選択的逆電子移動反応に伴うこコヒーレンスの生成はBixonーJortner型のモデルで考えることが出来る.しかし化学反応が溶液中で起こるために,ラジカル対が活性化状態に励起される事が必要であり,その活性化状態において分子系のデコヒーレンスが起こる可能性(量子観測と呼ばれる)が議論されてきた.活性化のプロセスについて,ラジカル対の減衰の温度依存性から新たに考察した.アーレニウスプロットから活性化エネルギーを決定した.本逆電子移動反応は,マーカル理論の逆転領域に存在し,その事から活性化状態に励起されたラジカル対が化学反応を起こす確率は50%を超えることはありえない.以上のことを元にして,かつ実験的に得られたラジカル対の減衰を条件に,ラジカル対の基底状態と活性化状態との2サイトモデルを構築した.2サイトモデルによる分子反応ダイナミクスと,電子スピンのダイナミクスを計算したところ,量子観測によるスピンのデコヒーレンスは最大でも30%.さらに実験で用いられた実際の予想される活性化速度を考えれば,デコヒーレンスの寄与は殆ど無いものと結論され,実験結果とよく一致している.結果は以前に測定されたC-P-F(カルテノイド―ポルフィリン―フラーレン)三元分子系の実験結果と合わせて現在投稿準備中である.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Chemistry Chemical Physics
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