研究実績の概要 |
研究目的は、輸入感染者が渡来した際の緊急追加接種の実施を数理モデルで理論的に判断が可能なようにし、客観的評価に基づいて緊急の予防接種政策に対する政策還元を行なうことである。 研究実施計画は、3つの段階的プロセスから構成されており、それは、(1) 数理モデルを利用した流行発生リスクの記述、(2)麻疹の追加予防接種の疫学的効果と費用対効果の数理的記述、(3)観察データへの適合と不明パラメータの推定である。初年度については、段階1と2について実施予定であり、段階2に関しては疫学的効果のモデル化を行なうことであった。 研究成果については、得られた観察データから、追加予防接種実施前の実効再生産数(ワクチン接種下人口において1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値。この値が1を下回れば、大規模流行は起こらないとされる。)は1.08(95%信頼区間: 0.84-1.35)と推定され、追加予防接種割合が8%を上回れば、実効再生産数は1を下回るという結果を得られた他、8%未満でも8%に割合を近づけることで、絶滅確率(1人の感染者が侵入したときに流行が自然に減衰にいたる確率であり、再生産数Rを利用すると1/Rで与えられる)を上昇させられるということが示唆された。 また、次の国際学会における口頭発表で成果報告を実施している。 Oral, July 2014, the Joint Annual Meeting of the Japanese Society for Mathematical Biology and the Society for Mathematical Biology, Osaka, Japan (査読有り)
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