研究実績の概要 |
1. 研究の目的 本研究はデジタルデバイスを使用してサビタイジングによる視覚認知課題を行いその特徴を探ることを目的としている。今回は知的障害児について視知覚等との関連から検討する。 2. 研究方法 対象児 : 特別支援学校(知的障害)中学部生徒10名に協力を求めた。 方法 : デジタルデバイス(画面の大きさ9.7インチ、7.9インチ、12インチ)、プレゼンテーションソフトにより作成した個数把握課題を実施した。対象児は注視点が提示されて2秒後に瞬間的に提示されるドットを見てその数を口頭で答えることを求められた。視距離は30cm、注視点は直径1°黒色ドット、課題は直径0.5°黒色ドットで画面中央直径10°の円内に2~7個が布置された。ドットの布置は、横一列、縦一列、左右対称、左右非対称の4タイプ、提示条件は0.1秒, 0.35秒, 0.6秒の3条件(9.7インチは3条件、他は0.1秒のみ実施)を設定した。対象児が回答した個数と反応時間を分析した。さらに、視覚関連基礎スキルを評価する検査であるWAVES(奥村・三浦, 2014)を実施した。 3. 研究成果 9.7インチにおいて提示時間0.1秒ではドット数が増えると反応時間が有意(p<.01)に増加する傾向が見られ、他の提示時間では見られなかった。さらにWAVESの視覚的注意に関する下位検査の上位群・下位群で分けた比較ではドット数2個で両群に有意な差がなく、サビタイジングによる把握が起きていることが推測された。また、下位群の正答率は5個以上で半分以下になり、視覚的注意が個数把握の正確性に影響を与えていることが示唆された。さらに、画面の大きさによる比較では反応時間に有意(p<.05)な差がみられ、正答率には見られなかった。本研究では視覚的注意や画面の大きさ等が個数把握に影響を与えていることが示唆された。ドットの布置等については今後検討が必要である。
|