「物理」という言葉だけで複雑な原理や難解な理論を思い浮かべる人も多い。しかし、科学実験を体験し、自分の手で確かめることで身近な物理現象を感じ、さらに理科や理系といった自然科学に興味を持ってもらうのが目的である。 温度や体積変化を使った熱に関する実験は、外乱の影響、事故の危険性など、小・中学生向けの実験としてはハードルが高くなりがちである。しかし、物理の基本法則を知るうえで、またエネルギーや環境問題にも繋がる分野でもあり、一番に興味をもってもらいたい物理現象でもある。そこで、新たにシャルルの実験装置を製作し、小・中学生を対象に、安全な環境で熱の実験を行い、熱のもつ不思議さを感じながら科学分野に興味をもってもらうことを目的としている。 上記目的を達成するための、熱に関する実験観測システムを制作した。実験観測システムは[1]シャルルの実験部、[2]遠隔操作計測部(スレーブ)、及び[3]観測制御用PC部(マスタ)で構成した。[1]はアクリル材料を用い制作し、溶液は水道水を使用した。[2]は遠隔操作できるカメラを用いた撮影と温度管理装置を制作した。[3]観測制御用PC部からのカメラ画像にて実験、計測を行った。 熱実験の様子をカメラから映し出された画像で測定、観測は可能だったが、制作した装置だと加熱放熱する時間が長く、実験時間が想定(1時間)より長くかかってしまった。計測結果に関しては、ばらつきが大きく、解析結果の絶対零度の値は-270±50℃(5回計測)となった。実験手順等に問題が無いか、外乱等の要因を排除するための、なにかしら補正が必要と考えられる。実験に関しては、時間の問題が大きく公開実験等で試用することが出来なかった。問題点を改善し公開実験等で試用することを考えている。カメラやPCを用いた実験が学生の興味を引く要因となるか、公開実験等で試用して確かめたい。
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