研究実績の概要 |
1. 研究概要 本研究は生産現場を意識した画像検査ラインの一部を模擬的に再現し, 欠陥検査をテーマとした画像処理を学習するための実践的な実験教材を開発し授業への応用について検討した. 2. 実験教材の構成と機能 装置は, 画像収録, ワーク(試料)搬送, 検査用照明, 良否判定表示で構成したものを制作した. ワークは20個程度用意し, 模擬的な欠陥として, 傷, 欠け, 打痕の3種類を自作した. 欠陥検査プログラミング言語は, 日本ナショナルインスツルメンツ社のLabVIEW及びそのアドインソフトウェアを用い, 検討のためデモンストレーションプログラムを製作した. プログラムは, (1)ベルトコンベヤ上を移動するワークの位置検出, (2)ワーク画像の欠陥顕在化, (3)良否判定と表示, で構成される. 動作テストでは移動するワークについてリアルタイムに処理が可能であり, 欠陥検出時にPC画面上及び装置上の赤いLED表示で作業者に警告できることを確認した. 3. 研究成果 従来の画像処理プログラミング演習は, 一定条件における画像を使用していた. これに対して本実験教材は, ワークの移動速度設定, 照明角度などの動的な条件も考慮が可能である. 例えば, 照明角の条件を変えると欠陥検出率に影響があり, 今回の実験教材は最適照明条件を探す必要がある. しかし一定条件の画像のみを用いた演習では, 現場での最適条件を検討することができない. このように本実験教材は実験・演習時における最適条件や実験仕様等を付加することで考察範囲を広げ, 従来の演習を改善した. 今後は, 開発したデモンストレーションプログラムを基本として短い授業時間内でも消化できるよう整備する必要がある. さらに本実験教材で使用する画像処理手法の解説や照明条件の変更設定についても検討し, 将来的にあらたな学習課題として提案していきたいと考えている.
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