本研究は、体外式膜型人工肺(ECMO)施行患者のカルバペネム系抗菌薬の血中濃度を測定することにより、カルバペネム系抗菌薬の血中動態と効果との関係性を評価することを目的とし、以下の研究実施計画をもって申請された。まず、ECMO施行患者の内、カルバペネム系抗菌薬を投与する患者を対象とし、抗菌薬投与前(トラフ値)、投与後1、3、6時間後に採血を行う。血中濃度はHPLCを用いて測定する。血漿400μLを限外濾過し、20μLを逆相C18カラムで分離し、300nmの吸光度を測定する。患者背景として、性別、年齢、体重、身長、血清クレアチニン値、ECMO施行の理由、感染症起因菌、最少発育阻止濃度を調査する。抗菌薬の治療効果はC反応性タンパク質、患者予後はECMO施行からの生存日数により評価する。患者予後に及ぼす薬物動態以外の因子についてはロジスティック回帰分析により評価する。 現在、本研究はサンプル収集を継続している。血中濃度測定法は超高圧液体クロマトグラフィー紫外吸光検出法を用いたメロペネム測定系を構築しており、サンプルサイズが揃い次第解析を行い、得られた結果については学会発表や論文発表の形で公表する。また、本研究についてミーティングを重ねた結果、カルバペネム系抗菌薬以外にもニューキノロン系抗菌薬、セフェム系抗菌薬、βラクタマーゼ含有ペニシリン系抗菌薬の中にも検討が必要な薬剤があるとの見解があり、体外循環の種類についてもECMOだけでなく、血漿交換、ビリルビン吸着もしくはエンドトキシン吸着についても検討が必要である。抗菌薬の種類および体外循環の種類に関しては改めて評価を進めている。
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