【背景】 (1→3)β-Dグルカン(β-Dグルカン)測定はCandida血症の早期診断の補助検査法の1つである。我々の検討では、β-Dグルカンが100pg/mL以上では患者の死亡率が上昇していた。しかし、β-Dグルカンが11pg/mL(カットオフ値)から100pg/mL未満のCandida血症例においては、その測定値と病態の関連は明らかでない。 【目的】 Candida血症におけるβ-Dグルカン値の上昇と他の血液検査項目との関連について検討する。 【方法】 本研究は2007年から2013年の6年間に金沢大学附属病院において血液培養からCandida属が検出された症例のうちβ-Dグルカン・その他の血液検査が同日測定された87例を対象とした。これらについてβ-Dグルカン値と死亡率のROC解析、他の血液検査項目(白血球数、血小板数、リンパ球数、ALB、CRP : 計5項目)との比較検討を行った。 【結果】 ROC解析の結果、β-Dグルカン値58.4pg/mLにおいてYouden Index0.339(感度62.5%、特異度71.4%)であった。そこで、①<11~≦58.4pg/mL、②>58.4pg/mLの2群にわけ、血液検査結果を比較したところ、ALB、CRPにおいて有意な差が認められた(有意水準p<0.05)。②は①に対しALB低値、CRP高値であった。 【まとめ】 Candida血症におけるβ-Dグルカン値の上昇と他の血液検査項目との関連について検討を行った。その結果、β-Dグルカン値が58.4pg/mLを超えると死亡率が高く、ALB低値、CRP高値傾向であることが分かった。β-Dグルカンは患者の重症度と関連しており、予後予測の指標となることが示唆された。また他の血液検査と組み合わせることで、Candida血症の早期診断・治療の補助検査として更なる有用性が期待される。
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