研究実績の概要 |
乳癌患者56症例のセンチネルリンパ節シンチグラフィにおいて、通常行っているエネルギーウィンドウの140keV±10%を5つのウィンドウ(4%ごと)に分割してプラナ像の撮像を行った。得られた5つの画像(128.8keV±2%, 134.4keV±2%, 140keV±2%, 145.6keV±2%, 151.2keV±2%)に対してセンチネルリンパ節とバックグラウンドにROIをとり、それぞれのエネルギーウィンドウごとにコントラストを算出した。また、5名の臨床医に読影を依頼して5段階で評価し(1 : 確実にない、2 : たぶんない、3 : 疑わしい、4 : たぶんある、5 : 確実にある)、平均が4以上の症例を全症例で割ったものをセンチネルリンパ節の検出率として評価した。145.6keV±2%のコントラストが最も優れていた(コントラスト : 0.743±0.20)。続いて140keV±2%(0.734±0.20), 151.2keV±2%(0.634±0.26), 134.4keV±2%(0.630±0.23)、の順でコントラストは低下し、最もコントラストが悪いのは128.8keV±2%(0.409±0.24)であった。140keV±10%から128.8keV±2%と134.4keV±2%を取り除いて145.6keV±6%にするとコントラストが0.635±0.22から0.730±0.20に有意に改善し(p=0.0063)、読影医の評価が4.74±0.58から4.94±0.20に有意に改善し(P<0.0001)、検出率が94.8%から100%に改善した。センチネルリンパ節が注入部位に近い場合、低エネルギー領域は散乱線を多く含むため、145.6keV±6%で撮像するとよい。今回の検討のように5つのエネルギーウィンドウで撮像することにより撮像後に状況に応じて適切なエネルギーウィンドウを設定することができる。
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