当院にて経カテーテル的心房中隔欠損閉鎖術が施行され、1年間(治療前後、3か月、1年)の経過観察が可能であった連続194症例を対象に、1 : 心室リモデリング評価および、2 : 術後合併症や心不全発症の予測因子について検討した。 1 : 心室リモデリング(左室容積・右室径など)は、術後3ヶ月間継続し、右室/左室比は、正常域まで達した(治療前1.08±0.19→治療1年後0.74±0.11)。右心機能評価は、全ての項目 (三尖弁輪移動距離、三尖弁輪移動速度、右室面積変化率) において一過性に低下するが、正常域まで回復する傾向を示した。 2 : 観察期間中に術後合併症や心不全発症は認めなかったため、術後に肺高血圧の遷延(心エコー図検査上、推定収縮期肺動脈圧上昇の遷延 : >40mmHg)する症例を心不全予備群(31症例)として、各心エコー図指標について予測因子を解析した(非心不全群vs. 心不全予備群)。術前の各指標 : 年齢(50.8±16.5 vs. 62.5±13.7 : p<0.05)、左房容積係数(35.9±13.4 vs. 48.0±20.4 : p<0.05)、E/e'(8.7±3.2 vs. 13.0±5.7 : p<0.05)、最大欠損孔径(17.7±6.0 vs. 23.0±8.6 : p<0.05)、右心カテーテル検査によるPVR(1.00±0.51 vs. 1.82±1.00 : p<0.05)、BNP(45.6±97.5 vs. 206.7±181.2 : p<0.05)において、2群間で有意差を認めた。 心室リモデリングは、右心系容量負荷消失に伴い、術後3ヶ月ごろまでに正常症例とほぼ同等の心室形態に近づくと考えられた。また、2で示された指標は、経カテーテル的心房中隔欠損閉鎖術の術後心不全発症の予測因子に関連すると考えられるが、実際の心不全を予測しているものではないため、今後の長期的な調査が必要と思われる。
|