閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans ; BO)は、細気管支に線維性狭窄、閉塞を起こす予後不良の疾患である。気道閉塞に関与する筋線維芽細胞の由来として、ドナーの組織線維芽細胞、レシピエントの骨髄間葉系幹細胞(fibrocyte)などが報告されてきたが、いずれがBOの病態に重要であるのか明らかではない。我々は、ドナーの気管をレシピエントの背部皮下に一定期間移植するBOモデルマウスを用いて、筋線維芽細胞の由来を検証した。 GFP蛍光標識されたC57BL/6-Tg^<CAG-EGFP>(GFP-TG)を用いて、ドナー由来モデル(ドナー : GFP-TG、レシピエント : BALB/c)、レシピエント由来モデル(ドナー : BALB/c、レシピエント : GFP-TG)を作成し、抗GFP抗体を用いて免疫組織染色を施行した。ドナー由来モデルでは気道閉塞部位の細胞はGFP陰性、レシピエント由来モデルでは気道閉塞部位の細胞はGFP陽性であり、遊走される線維芽細胞はレシピエント由来であることが分かった。次にレシピエントの骨髄由来か周囲組織由来かを検証するため、レシピエント骨髄由来モデル(ドナー : BALB/c、レシピエント : GFP-TG骨髄を採取、移植した野生型のC57BL/6)を作成した。その結果、気道閉塞部位ではGFP陽性細胞とGFP陰性細胞が混在していた。形態学的に紡錘形の細胞は大半がGFP陽性であり、BOモデルにおいて気道閉塞に骨髄由来のfibrocyteが関与していることが分かった。さらに、fibrocyteは移植早期に移植気道内に遊走されることを確認した。 以上より、移植早期に遊走されるfibrocyteが、BOの治療標的となる可能性が示された。
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