研究課題
特別推進研究
本特別推進研究は昭和56年11月に採択が決定され、昭和60年3月までが研究期間であった。昭和60年度は研究成果をとりまとめるための期間で、研究成果報告書を作成し、昭和61年2月末に研究成果報告会を行なった。2日間にわたる報告会には延べ160名の出席者があり、成果報告書はこれまでに約240部を全国の研究者に配布した。研究成果報告書は発表論文リスト(原著論文、総説等、著書、国際会議プロシーディングス)と報告本文とからなり、報告本文は第【I】編時間分解分光、第【II】編ラマン分光に分かれている。第【I】編は広領域時間分解分光装置の開発と広領域時間分解分光装置を用いた生体関連物質の研究の2章からなる。開発した装置は、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒領域の吸収分光用のもの、ナノ秒ラマン分光およびピコ秒時間分解ラマン利得分光用のもの、インコヒーレント光を用いた超高時間分解CARS、CSRS分光用のもの、ナノ秒・ピコ秒二次元発光分光用のものである。これらの測定装置を用いて、視物質の光化学初期過程、酸性型バクテリオロドプシンおよびセンサリーロドプシンの光化学サイクル、クロロフィル生合成の初期過程等が研究された。第【II】編は蛍光除去ラマン分光法、マルチチャンネルラマン分光法、短寿命分子種のラマンスペクトル、光合成細菌色素の共鳴ラマンスペクトル、クロロフィルおよび関連物質の振動スペクトル、タンパク質のラマンスペクトルおよび振動解析の6章からなる。蛍光除去ラマン分光法として、逆ラマン分光、時間分解法、近赤外励起法の3種の開発が行なわれ、それらの長所、短所が明らかにされた。ナノ秒領域の過渡ラマン分光法により、トランス-スチルベン、レチナール、ビフェニル等の励起一重項または三重項状態が研究された。光合成細菌に含まれる色素の共鳴ラマンスペクトル、在機溶媒中のクロロフィル類の振動スペクトルが詳細に解析された。
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