研究課題
一般研究(A)
1. 多層膜の製作スーパーミラー中性子導管に用いる多層膜を、計算機制御により自動化する方法で真空度や蒸着速度等の蒸着条件の最適化をはかり 数Åの精度で約200層のものを多量に製作した。鏡面に垂直な成分に関する臨界波長(λ/θ)crit【〜!〜】240Åを得るために、最小層厚59Åでニッケルとチタン層を交互に185層蒸着した。その結果、ニッケル反射鏡の(λ/θ)crit【〜!〜】580Åより短波長側で平均反射率0.85が得られ、既設の導管に比べて10倍以上の中性子強度が得られることが期待できる。2.中性子導管の製作・設置スーパーミラー中性子導管用反射体支持容器及び架台一式、並びに同導管用広発散角実験孔プラグ一式を製作した。導管要素の時効効果によるそりやねじれ(最大200μ/90cm)を除く組立方法を検討し、鉄製定盤や組立時の調整治具を製作して、ねじれは10μ/90cm以下及び反射鏡の垂直度も5μ/10cm以下に抑える様に組立てた。その結果接合誤差による中性子損失率は1%以下になるものと思われる。3.スーパーミラー中性子導管の特性KUR・B-4実験孔にスーパーミラー中性子導管を設置し、その特性を測定した。特性の主なものは導出される平均の全中性子束は約5×【10^7】n/【cm^2】・sec、外側でのpeak波長1.17Å、内側でのpeak波長1.36Åであり、既設のニッケルミラー中性子導管(KUR・E-3実験孔)に比べて約20倍の全中性子束が得られた。これは数値計算で期待される性能を考えると、異なる実験孔であることを考慮しても、導管の製作・設置が非常に良好であることを意味している。また炉室内での漏洩線量は0.5mr/hr以下に抑え、実験室内での速中性子やγ線のバックグラウンドも抑える様に、重コンクリート、鉛、【B_4】C及びLi-タイルを組合せて遮蔽している。
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