研究概要 |
昨年度の成果を引継ぎ、並列処理システムの基本としてFASTBUS規格案を採用して、その仕様を満すための開発研究を行った。今年度の主要課題は、つぎの4点である。 【i】)昨年度FASTBUS暫定案に沿って開発した装置を、最終規格に合致するように変更すること。 【ii】)2段以上の階層構造をもつデータ収集システムに使用できるようなFASTBUSセグメント・インターコネクトを開発すること。 【iii】)FASTBUSテストに必要なソフトウェアを整備すること。 【iv】)電子・陽電子衝突実験の場合のデータ収集開始信号(トリガー)を発生する具体的方法を検討すること。 これらのうち、【i】)〜【iii】)は所期の目標通りのものが完成した。すなわち、本研究で開発したハードウェアおよびソフトウェアを、高エネルギー物理学研究所に運び、トリスタン実験用オンライン・コンピュタと接続して総合テストを行った結果、これらが期待通りの性能をもつことが確認できた。 また【iv】)については、モンテ・カルロ計算によりトリガー論理を検討するとともに、トリガー用ハードウェア,「トラック・ファインダー」,「デシジョン・モジュール」,の試作品が完成した。これによりトリスタン実験におけるトリガー方法の具体案の基礎をつくることができた。 なお【i】)〜【iii】)については、サンフランシスコで行われた1983IEEE核科学シンポジウムにおいて、講演およびポスター・セッションによる発表を行った。また【iv】)については、1984年春の物理学会の講演として発表する予定である。
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