研究課題/領域番号 |
58065005
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹生 潔 名大, 理学部, 教授 (50013363)
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研究分担者 |
星野 香 名古屋大学, 理学部, 助手 (70022738)
丹羽 公雄 名古屋大学, 理学部, 助手 (60113445)
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研究期間 (年度) |
1983 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
215,000千円 (直接経費: 215,000千円)
1986年度: 19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
1985年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
1984年度: 90,000千円 (直接経費: 90,000千円)
1983年度: 84,000千円 (直接経費: 84,000千円)
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キーワード | チャーム粒子 / ビューティ粒子 / 原子核乾板 / 全自動飛跡選別装置 / エマルションテープ / ハイブリッドバーテックス検出器 / 新素粒子測定装置 / 自動飛跡選別装置 |
研究概要 |
物質の基本的階層の構成要素と物理法則とを探る素粒子物理学の最前線で第5種のクォーク(b)を含むビューティ粒子の直接検出研究と、第4種のクオーク(c)を含むチャーム粒子の精密研究を行い、この階層の物理法則を記述する最有力理論とみなされている量子色力学(QCD)検証を促す大きな成果をあげた。これらの重いクオークを含むハドロンは生成率が非常に小さく、また0.1〜1psという極端に短い寿命で崩壊する。したがって、その生成崩壊の飛跡を直接観測するのは極めて困難であった。 本研究では 短い飛跡を直接観測するために空間分解能が1μmの原子核乾板をカウンター検出器と組合せる複合実験装置を用い、大体積の原子核乾板に蓄積された莫大な数の素粒子反応の中から目的の粒子を能率よく抽出することのできる 世界でもユニークな素粒子飛跡自動測定システムを開発・実用化して、高エネルギー素粒子反応の精密解析をすゝめた。その結果、CERN実験WA75において350Ge【V】π中間子ビームによりひきおこされた数億個の反応の中から下記の成果を得た。 1) 1対のビューティ粒子の生成およびチャーム粒子への崩壊を世界ではじめて原子核乾板中で捕え、それらの寿命の直接測定を行った。得られた寿命は、他の間接測定された価より短く、より精密な実験の必要性を示した。2) 同一反応から2対(4ケ)のチャーム粒子が生成された反応を世界ではじめて2例観測し その発生断面積と生成機構について解析した。これはクォークの基本過程に関するQCD理論の検証を促す貴重な成果である。 本研究で実用化され、その威力の一端が示された素粒子飛跡自動測定システムは、テープ状原子核フィルムの開発等新技術の導入とあわせ、素粒子物理学の最前線における原子核乾板の応用範囲を著るしく拡大するものであり今後更に大きな成果が期待される。
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