研究課題
一般研究(A)
超LSIや半導体プロセスにおいて、金属薄膜、絶縁体薄膜、半導体薄膜の低温CVD技術の開発が望まれており、とくに荷電粒子損傷をウエハに与えない技術が必要とされている。本研究は、CVD技術に光エネルギーを導入し、新しい低温CVD技術の確立を目的とした。低温において緻密かつ高品質の膜を形成するためには、原料ガスの気相と表面における反応を分離、制御する必要があるとの観点から、気相励起・反応にプラズマ、表面反応促進に紫外線照射するHybrid-Excitation CVD技術を提案し、以下の3項目について研究を進めた。(1)金属薄膜Alの形成に用いるトリメチルアルミニウム(TMA)の紫外吸収スペクトルを確定した。また、Hybrid-Excitation CVD装置の光源にはXe-Hgランプでなく、Xeランプを用いることとした。(2)原料ガス(トリメチルアルミニウム)の気相分解機構を明らかにした。特に、TMAから炭素フリーのAlを得るためには、雰囲気ガスとして【H_2】が必要なこと、また光分解の様に【C_2】【H_6】を生成する分解過程では【CH_3】ラジカルの生成が抑制されるため、膜中への炭素取り込みが減力することが明らかになった。(3)減圧下でも原料ガスを効率良く気相励起・反応させるプラズマを用い、表面反応促進に紫外線照射をおこなうHybrid-Excitation CVD装置を製作した。原料ガスにTMAと【H_2】を用いて、荷電粒子損傷をウエハに与えることなく、250℃の低温で炭素フリーの高純度Alを紫外線照射した部分にのみ形成した。以上の結果により、低温CVD技術としてHybrid-Excitation CVD技術が確立し、高純度Al膜が形成できる見通しが立った。今後、膜質評価、成膜条件の最適化により超LSI用配線金属成膜技術として発展させるとともに、絶縁体薄膜形成技術として応用できると確信している。
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