配分額 *注記 |
35,500千円 (直接経費: 35,500千円)
1985年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1984年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1983年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
人エナメル質粉末を、フッ化インジウム,フッ化ハフニウムおよび硝酸ランタンの溶液で処理すると、高い耐酸性を示す事は報告した。 本年度は、これら溶液が人の歯の表面に及ぼす影響と特性について検討した。さらに対照群として、フッ化ナトリウム,フッ化スズ溶液を用いて、次の様な実験を行い、新しい知見を得る事ができた。 1)EPMAによる歯の表面観察:各作用液で処理したエナメル質表面の観察の結果、硝酸ランタンで処理した場合、表面は平均約3μm直径の針状結晶の集合体で覆われており、フッ化ハフニウムで処理した場合、分厚い生成物で覆われており乾燥によってひび割れたかの様に観察できた。これら5種作用液の中では、フッ化インジウムで処理した場合にもっとも生成物と思われる沈着物(付着物)が少なかった。 2)EPMAによる歯質表面近傍の元素の挙動;各作用液で処理した歯牙を唇舌方向に切断し、その断面のカルシウム,フッ素および陽イオン元素の挙動について検討した結果、フッ化ハフニウムで処理場合にもっとも大きな変化が観察され、カルシウムは最表面から最大10μm脱灰され、ハフニウムは最表面から最大14μm侵入していた。これら作用液の中では、フッ化インジウムとフッ化ナトリウムで処理した場合にもっとも歯質の損傷は少なかった。 3)X線回折による生成物の同定;フッ化ハフニウムで処理した場合、$$Na_2HfF_6$$の他に$$CaFPO_3・2H_2O$$および$$CaHPO_4・2H_2O$$の混合物が表面に生成され、硝酸ランタンで処理した場合、$$Ca_8La_2(PO_4)_6O_2$$を主成分とし、他に$$Na_3(Ce,La,Nd)(PO_4)_2$$のランタン化合物および$$LaHP_2O_7や$$Ca_3(PO_4)_2・xH_2O$$の混合物が生成されていると考えられる。一方、フッ化インジウム処理の場合、フッ化リン酸インジウム(IFP)化合物の生成が考えられた。
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