配分額 *注記 |
40,100千円 (直接経費: 40,100千円)
1985年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1984年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1983年度: 34,000千円 (直接経費: 34,000千円)
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研究概要 |
1. 3年間の本研究の結果、一応現在ハイパー・ラマン散乱測定用に設置した概略はつぎの通りである。Nd:YAGレーザーの1.06μの基本波を、超音波Q-スイッチによりパルス化したパルス光を励起光とした。繰返し周波数は通常2KHz(パルス幅150ns)〜6KHz(パルス幅200ns)、尖頭出力は3〜50KWである。レーザー光をf=5cmのレンズで紋り焦点に結晶試料を設置、90°散乱による散乱光を広帶域分光器に導入し、532nm付近の散乱光を分光した。検出は intensifier付Photodiode arrayマルチチャンネル光検出器とコントローラーを用いて行なった。1回の測定でカバーできる波数範囲は約230【cm^(-1)】である。Photodiodeの暗電流を減らすことが重要である。0℃のメタノールと検出器内蔵のペルチェ冷却器によりPhotodiode arrayの温度は約-25℃になっている。 2. CsCa【Cl_3】結晶について測定を行なった。室温で点群Ohに属す立方晶であり、3【F_(1u)】と【F_(2u)】の振動はすべてハイパー・ラマン活性である。対称中心をもつ結晶であるから、ハイパーレーリー散乱は不活性なはずであるが、実際には観測される。これは結晶中の欠陥などによる局所的な対称の低下によると考えられる。測定されたハイパー・ラマン振動数(【cm^(-1)】)は、76【V_1】(LO),114【V_2】(TO),142【V_2】(LO),267【V_3】(TO),312【V_3】(LO)で何れも【F_(1u)】モードで【F_(2u)】モードは測定できなかった。また最低波数のTOモードは76【cm^(-1)】のLOの裾に埋もれていると考えられる。また室温から22Kの範囲で温度変化の測定を行なったが明瞭なスペクトル変化は認められなかった。 3. CsSr【Cl_3】結晶は室温で擬ペロブスカイト型構造をとる。室温で 150【cm^(-1)】以下に118,〜83,〜64,〜33【cm^(-1)】のようなハイパー・ラマンバンドが測定されるが、バンド幅が広くバンドの重なりを示唆している。
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