| 配分額 *注記 |
34,500千円 (直接経費: 34,500千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1984年度: 9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
1983年度: 21,600千円 (直接経費: 21,600千円)
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| 研究概要 |
循環器疾患のモデル動物による実験病理学的研究成果により、栄養が成人循環器疾患(高血圧、動脈硬化、脳卒中)の発生、予防要因として重要であることを明らかにしてきたが、その成果がヒトにも応用可能であることを証明するため、栄養状況の大きく異なる地域集団を対象として栄養と循環器疾患の関係の疫学的な研究を実施した。これまでの基礎的検討の上にたって24時間尿中のNa,K,タウリン(T),3-メチルヒスチジン(MH)をそれぞれ食餌のNa,K,魚肉、獣肉の摂取指標として用い、又血中燐脂質脂肪酸から摂取脂肪酸の種類を推定し、コロトコフ音自動記録血圧計を用いて客観的に求めた血圧と比較した。
本年度の研究対象は、国際協力事業団の支援を得て中国5地域、すなわちチベット、北京、石家庄、上海、広州を実地調査し、それぞれ約2,000人の集団を選び、その集団内の50-54才の人々の中からランダムに選ばれた男、女合計30人について、アリコートカップを用いて24時本尿を採取した。検診では身長、体重と前述の自動記録血圧計で安静時血圧を測定後、空腹時の採血を実施し、食習慣などにつき聞き取り調査も行った。血液、尿サンプルは凍結後日本に輸送し、尿中アミノ酸はアミノ酸分析機で、電解質は炎光法で分析した。
各集団の血圧はラサが最も高く、北京がそれにつぎ、ついで石家庄上海で、ことに広州は最高、最低血圧ともに低く、WHOの規準では高血圧の頻度は男・女それぞれラサ18.2,40.0%,北京23.1,15.4%,石家庄6.3,6.3%で、上海、広州は皆無であった。尿分析の結果、尿中Naからみた食塩の摂取量は広州の1日5.7gは最低で、他の地域は13-15g,はたがってNa/K比も広州は4.2,他は6-9の間でそれぞれ血圧正相関の傾向があった。中でもTのクレアチニンあるいはMHとの比は最高、最低血圧と有意の逆相関(r=-0.866,-0.815;-0.871,-0.882)がみられ、魚肉の摂取が血圧抑制的に働らく事を疫学的に示した。
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