研究課題/領域番号 |
58460026
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 静岡大学 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 久遠 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (30021934)
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研究分担者 |
石館 健男 静岡大学, 理学部, 講師 (80022226)
浅香 修治 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (00167876)
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研究期間 (年度) |
1983 – 1984
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
1984年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1983年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | ハイパ-ラマン散乱 / レ-ザ-分光 / 共鳴光散乱 / 色素レ-ザ-励起 / フォノン |
研究概要 |
1.波長可変の、繰り返しパルスの色素レ-ザ-を用いて、固体の格子振動によるハイパ-ラマン散乱信号を世界で初めて観測した。また、このための高感度観測システムを開発した。 2.上記の色素レ-ザ-および観測装置を駆使して、ハイパ-ラマン散乱効率の励起波長依存性をSrTiO_3、TiO_2結晶等について求めた。その結果、二光子の励起エネルギ-が物質のバンドギャップエネルギ-に接近すると共に、二桁にも及ぶ著しい散乱効率の増大を見い出した。この事実は、測定対照物質に応じて色素レ-ザ-の波長を選択すれば、高効率のハイパ-ラマン測定が可能である事を示したもので大きな成果である。 3.上記の散乱効率の周波数分散を、縦波、横波フォノンで異なる事実も含めて理論的に説明した。 4.禁制の縦波フォノンのハイパ-ラマン散乱で、強い共鳴効果現象が生ずることを発見した。TiO_2では通常は観測できない実験配置で、二光子励起エネルギ-が、一光子吸収禁制の電子遷移に一致するとハイパ-ラマン信号が異常に大きくなって観測できる事実を見い出し、励起子効果を用いて理論的に説明した。同様に、SrTiO_3でもこの禁制縦波フォノンの共鳴効果が存在することを見い出した。 5.上記の結果は、通常の一光子吸収で観測できない固体の電子励起状態を、この方法を用いて観測できることを示したものであり、原理的に新しい普遍的な分光法を開発したことを意味する。これを、共鳴ハイパ-ラマン分光法と名づけることにした。大きな成果である。 以上の様に、学問的に新しい基礎的事実を明らかにしたのみならず、応用上も重要な成果を得た。
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