研究課題
試験研究
本研究は、1) 高齢児養護児童に対する処遇プログラムの効果測定調査 2) 養護施設における進路指導の実態調査(A 施設調査 B児童調査)、そして3) 家庭相談員・児童相談員調査の三つに分けられて実施された。1)の効果測定調査は、尺度の作成と尺度の検証など複雑な作業のもとに進められたが、ほぼ成功裡に終了し詳細な分析がなされている。効果測定は、実験群(Aグループ-養護施設退所後、職業訓練を受けた者)と統制群(Sグループ-施設退所後、職業訓練を受けない者)との間の比較でなされたが、その結果は、第一に、全体としてAグループがSグループに比べて社会的自立の準備の度合が高い。第二に、Aグループのような社会的処遇を受けないで、個人の資質に任せる余地の比較的に多いSグループに高い自立を示した者もいる。第三に、両群に共通していえることは、この年齢のこの時期に何らかのケアを受けることが社会的自立の準備に大きくプラスしている。2)の養護施設における進路指導調査のなかで、A調査は、施設における進路指導体制に関する調査で、その内容は、施設の概況、処遇体制一般、通学校と地域の概況、進路指導の体制・方針、学習指導、進学指導、就職指導、中途退園後の指導、高齢児の養護、進路状況などあり、B調査は、個々の児童について進路指導のあり方をみたものであり、その内容は、児童の状況、指導方針、進路確定の経過と予後、評価などであるが、調査結果は、A調査、B調査ともに回収率が85%以上の高率のもと、多くの知見がえられた。その主なものは、進路指導に対する関心はきわめて高いが、現実には進学率は一般生徒に比べて著しく低い。その原因が学力の低さにあるか、どうかが問題である。3)の相談員調査においては、養護児童問題は家庭の養護機能の低下にあるが、そうしたなかで親の離婚や家出などの家庭崩壊、親の疾病異常などによる保育能力の喪失が目立ってきている。
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