研究課題/領域番号 |
58860040
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業気象・生物環境制御学
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研究機関 | 東京農業大学 (1984-1985) 岩手大学 (1983) |
研究代表者 |
杉 二郎 (1984-1985) 東京農業大学, 公・私立大付置, 研究員 (20078231)
原 道宏 (1983) 岩手大学, 農学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
1983 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1985年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1984年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1983年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | 塩類土壌 / 塩類集積 / 毛管切断 / 温度差利用かんがい / 蒸留 / ビニールハウス / 圧入式地下かんがい |
研究概要 |
熱帯には雨期と乾期が半年ずつあり、乾期には農業用水が非常に不足する。熱帯であるので、温度と日射量は十分にあるので、良質の水さえ十分に得られれば、農業生産が可能になる条件はそろっている。 タイ国内陸部には砂質の塩類土壌地帯が数百万haの広範囲に存在し、乾期には地表に塩類が集積し農地に適さなくなる典型である。このような農業に不適な乾期にも地下水位は1〜2mと浅く、量は豊富である。しかし、多くの場合、その地下水の中には重量濃度で1%前後の高濃度で塩類(主にNaCl)が含まれるブラキッシュウォータであって、そのままでは、高塩類濃度のゆえにかんがいには適さない。 一方、熱帯であるので乾期晴天下では日射量は多く、夜も冷却が起きる。その熱エネルギーあるいは温度差を利用して悪水を蒸留すれば良水を得られる可能性がある。しかし、高価な装置でなく農業に向く簡易なものである必要がある。蒸留には現地に簡単な小型ビニールハウスを作り、採水を試みた。その結果、熱帯晴天の条件下で、塩濃度1%、深さ1.5mの地下水から、水平面積1【m^2】あたり1日に1l〜2lの良質水(濃度10ppm=0.001%)が得られた。従って、この方法は熱帯でブラキッシュウォータから良質水を得るのに適した方法である。 土壌と地下水との間に水平に空隙を設け、日夜の温度較差により水蒸気の一方向移動を促す案が唱えられていたので、実験装置を作って試験した。その結果、現地条件に近い、水温30℃、地温20℃の条件で1日に約0.3mmの蒸発・凝縮が認められた。この値は理論値を若干下回るが諸々の条件を考えれば矛盾しない。従って、この方法では塩類集積を回避し、良質水を下層土に得ることはできるが、量的にはやや劣ると考えざるを得ない。 良質水の効率的かんがい方法として「圧入式地下かんがい」が発案され、圧力と注水量の関係を数値計算し、今後の展開に資した。
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