配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1985年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1984年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1983年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
各人の遺伝的要因が、アレルギーの発症に関与することは、その発症に家族性があることから知られ、またアレルギー反応には免疫グロブリンIgEが関与することが明らかにされている。本研究は、遺伝子操作法により単離したヒト免疫グロブリンH鎖のDNA断片をもちいて、この領域の遺伝子レべルの変異とアレルギー発症との関連の有無を検索し、アレルギー疾患診断法の一助とすることを目的とした。 健常者およびアレルギー患者の末梢血より得たDNAを検体としてCε,SεおよびD領域のDNA断片をプローブとしてSouthern法により解析した。その結果、【◯!1】134検体について、Sε,【Cε_1】,【Cε_2】,【Cε_3】のすべてについて大きな欠失や挿入は検出されなかった。【◯!2】D領域での欠失がみられた。【◯!3】ε1遺伝子の5′側、約4kbにあるBamH【I】切断部位および、ε2を含むHind【II】,Sac【I】断片について多型がみられた。その頻度はそれぞれ0.68/0.32,0.69/0.31,0.71/0.29であった。血中IgE安や病態と制限酵素切断部位変異との間に直接的な相関はみられなかった。【◯!4】D領域の欠失はD4の3′側からD1を含む約10kbにおよんでおり、欠失型の遺伝子頻度は0.5であった。この変異とアレルギー発症との関連はみられなかった。【◯!5】家系DNA試料を解析して、これら多型がみられた変異の遺伝的伝達を確認した。 以上の結果より、集団中に高頻度に存在しヒト免疫グロブリンH鎖のDからCまでの領域の遺伝子の変異を解析するうえで有効な指標として利用できるものである、しかし、一般的にアレルギー発症と、本研究で検索したヒト免疫グロブリンH鎖領域におけるDNAの変異とは連関していないものと考えられる。
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