研究課題/領域番号 |
58870066
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
斉藤 和久 慶応義塾大学, 医, 教授 (80050946)
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研究期間 (年度) |
1983 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1985年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1984年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1983年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 薬剤担体 / ミサイル療法 / リポソーム / 感染症 / 肝癌 / α-フェトプロテイン / アドリアマイシン / 経口インスリン |
研究概要 |
1.強毒腸炎菌300個のi.v.感染マウスは5-7日で感染死する。感染1日後にstreptomycin(SM)20mg/kg i.v.投与しても死期を延長できないが、liposome封入SM(L-SM)では15日以上マウスを生存させた。SM80mg/kg i.v.投与はマウスに著しい毒性を示すが、L-SMは毒性は認められなかった。感染1日、6日の2回、L-SM20mg/kg投与すると80%のマウスは55日以上生存した。L-SM投与後、SMは肝、脾に大量に分布、保持され、腸炎菌の増殖を著しく阻止した。 2.抗ヒトα-fetoprotein(AFP)モノクロナル抗体結合adriamycin封入リポソーム(L-ADM=Ab)はin vitroで、AFP産生ヒト肝癌細胞に選択的に結合、増殖を抑制した。nu/nuマウスに継代中のAFP産生ヒト肝癌をnu/nuマウスの皮下、またはヒト肝癌のモデルとしてnu/nuマウスの肝被膜下に移植、腫瘍が増殖してきてから、ADM、ADM封入リポソーム(L-ADM)、あるいはL-ADM=Abをi.v.投与、腫瘍重量から抗腫瘍効果をみた。皮下腫瘍に対してはL-ADM=Ab>L-ADM>ADM、肝腫瘍に対してはL-ADM=Ab>ADM>L-ADMの順に有効で、L-ADM=Abの効果は著しく、血清中AFP増加抑制はL-ADM=Abのみに認められた。なおADMの毒性はリポソーム封入により減少した。 3.糖尿マウス(血糖380mg/dl)にinsulin(ins)封入リポソーム(L-ins)を胃内投与すると、血漿中総ins、遊離insとも30分後に最大値を示し60分後に半減したが120分後にもその値は保持された。血糖低下は4匹中1匹に認められた(292mg/dlの減少)が、血漿ins濃度との関係は認められなかった。糖尿マウスにL-insをi.p.投与すると6匹中4匹に血糖低下(263mg/dlの減少)が認められ、この場合は血糖低下と血漿中遊離ins量との相関が認められた。以上の結果から、経口用L-insの開発には、リポソームの消化管からの吸収や体内でのinsの動態の面からリポソーム作製に工夫が必要と思われる。
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