研究概要 |
我々は、胎盤後血腫を原料とし、以下の手順で妊娠特異蛋白pregnancy specific 【β_1】-glycoprotein(【SP_1】)の精製を行った。すなわち、【◯!1】胎盤後血腫を遠心分離後、上清を40%飽和硫酸アンモニウム濃縮、【◯!2】Sephadex G-150 gel filtration 【◯!3】DEAE-Sepharose CL-6B column chromatography 【◯!4】Hydroxylapatite chromatography 【◯!5】【SP_1】-negative immunoadsorbent chromatography 【◯!6】FPLC system mono Q column chromatographyの順である。上記操作により得られた精製【SP_1】は純度99%前後のものとなった。この精製【SP_1】を家兎に1羽/回につき数mgを等容量のFreund complete adjuvantとともに、隔週1回で計7回の免疫を行い、抗【SP_1】抗血清を作成した。この抗血清を用いて、栄研化学株式会社にて抗体感作ラテックスを作成し、LA法(ラテックス凝集免疫測定法)による測定を試みた。ラテックスの粒径が約0.1μmで、その表面積1【cm^2】あたり220ngの抗血清のγG Fractionを結合させたところ、測定波長585nm,サンプル量80μl,試薬量300μl,反応時間 400秒間,反応温度37℃の一定条件で約100ng/mlの感度で標準物質(ヘキスト社製【SP_1】標準品)のアンモニウム緩衝液の希釈溶液の測定が可能となった。 そこで、これを用いて妊娠初期の血清を測定したところ妊娠6週で測定可能となった。また、分娩直前81例についてLA法とSRID法とで測定したところ、よい相関を得ることはできなかった。これは妊娠後期のみを検討したために満足のいく結果が得られなかったと思われる。妊娠経過による検体ではもっとよい結果が得られるものと考えられた。しかし、妊娠初期より測定が可能で、400秒で濃度が判ることは、臨床上子宮外妊娠の鑑別診断、胎盤機能検査などに使用することが可能である。一方、【SP_1】の繊毛性疾患における腫瘍マーカーとして使用には、さらい高い感度が必要である。
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