研究課題/領域番号 |
59065004
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊勢 典夫 京都大学, 工学部, 教授 (00025868)
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研究分担者 |
曽我見 郁夫 京都産業大学, 理学部, 教授 (20065832)
大久保 恒夫 京都大学, 工学部, 助教授 (70026194)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
252,200千円 (直接経費: 252,200千円)
1986年度: 74,000千円 (直接経費: 74,000千円)
1985年度: 69,200千円 (直接経費: 69,200千円)
1984年度: 109,000千円 (直接経費: 109,000千円)
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キーワード | X線散乱 / 限外顕微鏡 / イオン性高分子 / タンパク質イオン / ラテックス粒子 / 規則構造形成 / ブラウン運動 / パラクリスタル / 高分子電解質溶液 / 高分子ラテックス / X線小角散乱 / パラクリスタル理論 / 画像処理 |
研究概要 |
昭和59年度本研究開始以来、種々のイオン性高分子溶液のX線散乱像に一つのピークが観察されている。検討の結果、溶質が溶液中に格子様の構造を形成している事実を示すものと解釈された。これをさらに確実にするため、Hosemannのパラクリスタル理論を種々の立方格子系に拡張し、格子因子に対する格子のパラクリスタル的乱れ、熱振動、格子の大きさの影響を理論的に考察した。この結果、格子因子は乱れにより大きく影響を受けることが明瞭になり、乱れが大きくなると格子因子のピークが顕著に小さくなること、さらに高次のピークが消失することが判明した。この事態は上述のX線散乱像において実際に観測されているものであり、これよりイオン性高分子の形成する格子が極めて大きなパラクリスタル的乱れを含むことが指摘された。以上の研究と平行して、高分子ラテックス球の分散状態を顕微鏡写真をとり、その計算機処理によるフーリェ交換によって、当該分散系からの散乱像の計算を行った。ラテツクス粒子がほぼ完全に格子を形成しているとき、不連続なフーリェ像が得られ、他方不規則状態の場合には散乱スポットやリングに対応する像を得られなかった。両者の中間である二状態構造、すなわち規則構造ならびに不規則構造が共存する場合、フーリェ像は二三の不鮮明なリングとスポットであった。この結果は、光散乱、中性子散乱法によって実験的に決定された散乱挙動に酷似しており、実験散乱曲線についての従来の解釈が当を得たものであることを物語る。またラテックス分散系における粒子間距離(2Dexp)の測定を行い、重水ー軽水混合溶媒系でも2Dexp<2D_0(2D_0:溶度から算出される平均距離)の関係の成立を確認し、粒子間引力の存在がさらに確実になった。
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