配分額 *注記 |
144,000千円 (直接経費: 144,000千円)
1986年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1985年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1984年度: 126,000千円 (直接経費: 126,000千円)
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研究概要 |
リソゾームのシステインプロテアーゼ群およびその内在性インヒビター群の構造と機能の解明を骨子として細胞内タンパク分解機構とその調節,ならびにその異常に基づく病態を究明することを目的として以下の成果を得た。(1)カテプシンB,Hのアミノ酸配列と糖鎖構造を決定した。カテプシンLは迅速な精製法の確立と共に、一次構造決定の完了途上にある。システインプロテアーゼインヒビター(シスタチンα,β)2種の一次構造も決定した。(2)これら3種のプロテアーゼと2種のシスタチンに対する抗体を得、それぞれに対するペルオキシダーゼ標識抗体を石川法で調製した。これらを使用して一方ではラット組識,末梢血球における濃度を測定すると共に、他方細胞内局在を免疫組識学的に調べた。3種のカテプシン量比,局在が組識や細胞によって異なること、シスタチンαとβは全く異なる組識分布を示すことを明らかにした。(3)シスタチンα,β活性部位を調べ、阻害には分子中央部の反応部位ばかりでなく、N末端部が重要なことを確認した。シスタチンのクローニングを完成させ、大腸菌で産生することに成功しており、将来アミノ酸置換実験から阻害機構を究明できよう。シスタチンβは3-cys-SHへのグルタチオンの離脱により阻害活性が大きく変化する。細胞レベルでもこの活性調節機構が働くことを実証した。(4)自己タンパクの分解と外来タンパクの分解の食餌性調節の差異とそれに対応したカテプシン群の局在の変化を明らかにした。(5)筋ジストロフィー症など筋タンパクの崩壊を伴う疾患では共通して筋変性の初期に細胞内オートファジーが亢進した病像を認め、ミスタチン群の治療への応用が期待できる。(6)リソゾーム病の一つI-cell病の線維芽細胞ではカテプシンB,Lのリソゾームへの局在化に異常があり、一部は培地中に前駆体として分泌,一部は細胞内に合成中間体として留まることを明らかにした。
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