研究課題/領域番号 |
59320006
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
黒木 三郎 早稲田大, 法学部, 教授 (80063189)
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研究分担者 |
中尾 英俊 西南学院大学, 法学部, 教授 (80069640)
武井 正臣 名城大学, 法学部, 教授 (50032397)
小林 三衞 茨城大学, 人文学部, 教授 (30007439)
松原 邦明 弘前大学, 教育学部, 教授 (30003289)
熊谷 開作 龍谷大学, 法学部, 教授 (80027995)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
1986年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1984年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 入会権近代化法 / 農林業の高度利用 / 入会林野の登記名義 / 入会権から所有権への転換 / 生産森林組合 / 個人分割 / 村落共同体の解体 / 地域的共益性の精神 / 環境問題 |
研究概要 |
昭和41年に公布された入会権近代化法は、今年でちょうど適用20年を迎えたことになる。当初200万ヘクタールと見込まれ、10年間で80パーセントを近代化する予定といわれた入会林野は、現在もなお100万ヘクタールが巌然と残っている。近代化法が適用された入会林野は、入会権を消減させ、その大部分があるいは生森森林組合となり、あるいは個人分割された。近代化法の目的は農林業の高度利用であった。何故か。共有的入会林野の所有権は、その集団的主体性の故に入会集団にあるが、慣習を法源とするために構成員はきわめて可変的であり、且つ実在的綜合人たる入会集団は法人格を有していないため登記できない。したがって、登記名義を代表者にしたり、記名共有にしたりするが、社寺等の法人名義もあり、入会権者の実態とはほとんどすべて合致しない。もとより入会権そのものは登記すべき権利ではなく、また登記する必要もない。ただ入会林野の所有権が当該入会集団に属することを表示するために苦労していたのが事実であり、登記名義としてのベストはない。近代化法のメリットの一つは、入会権を消滅させて所有権等の近代的権利に変更し、登記する手続について国や県や市町村が最大の助成をすることである。とくに登記名義人が死亡して数世代を経ていたり、相続人の数が莫大に広がったり、不在のまま生死不明であったりする場合には手続も煩雑で費用もかかるので放置しているのが通常であるから、近代化法を適用して一挙に解決することは、きわめて魅力的である。入会権は個人的な所有権に切り替わるので融資も受け易く造林のためにも至便である。しかし、入会権が消滅したことによって、村落共同体の解体が促進され、地域的共益性の精神が失われることにならないか。生産森林組合の定款や内規のなかに消滅したはずの入会慣習が盛りこまれたりするのは何故か。さらに残された入会林野のメリットも探りたい。
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