申請課題の趣旨に従い、高度先端技術の地域産業への導入とその影響、およびこの方向を志向する通産省を主務官庁とするテクノポリス推進体性を構造的に捉え、今後の展望を引き出す基礎データを蒐集することを昭和59年度の研究目標とした。このためにまず59年7月に通産省・国土庁・日本立地センター、ついで農林水産省等の中央官庁ヒアリング、静岡県知事公室、テクノポリス対策室、浜松市役所を対象として、政策具体化の実況について調査を行う一方、9-11月には地域比較の見地から、テクノポリス地区として集中的指定を受けた九州各県(熊本・大分・宮崎・鹿児島)の進出企業の動向ならびに県・市町村当局の対応を現地調査した。これに並行して、浜松市および周辺市町村の在来地場企業(繊維・楽器・二輪車)、先端技術企業の工場調査を行い、先端技術導入の実態と、その影響について事情聴取した。さらに59年12月以降60年3月にかけて、浜松市・静岡県当局にテクノポリス指定1年近くの時点での状況聴取を行い、指定地の農村調査、企業体の労働者意識調査、周辺地区企業体の立地動向とその要因に関する調査に着手した。また関係文献資料目録を上梓することができた。 60年4月以降の第2年度は、初年度の調査をふまえ、かつ集積した報告資料や統計データをもとに研究分邸者間の分邸テーマの調整とその執筆準備に着手した。初年度に引き続いて数度の研究会、アフターケア的な周辺過疎市町村のテクノポリスへの期待の度合、その後の県、浜松市等での政策実施動向の推移を絶えず追跡しつつ、資料の補収蒐集に努めて、さらにテクノポリス政策とも連関した郵政省主導のテレトピア構想についても、その指定都市たる静岡市の当局の対応を聴取することなど広がりのある調査研究を図り、11月段階より報告書作成のために執筆を本格化させ、61年1年1月末の目次作成を経て、3月別添のような報告書を上梓した。
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