研究概要 |
1.航空機,人工衛星など実際に用いられている炭素繊維強化エポキシ(CFRP)材の微視破壊機構の定性的評価をするために,単純化したモデルCFRP材の周波数解析を試みた結果,母材からの微視割れ,母材の割れ,母材と繊維とのはく離,母材と繊維の摩擦と繊維破断はそれぞれ260,50〜160,150〜250,270〜390KHzであり,また実際に用いられているCFRPの一方向繊維強化積層板の母材の割れ,繊維の界面はく離,繊維と母材との摩擦と繊維破断はそれぞれ50〜100,150〜250,270〜390KHzの帯域を示し,三方向繊維強化積層板〔0°/±45°/90°〕s,〔90°/±45°/0°〕sにはモデルCFRPのAE波の周波数スペクトルに含まれない周波数成分630KHzは層間はく離で起こる繊維同志の摩擦によるものとわかった。 2.最近自動車に使用されているクラスA-SMCについては,母材の割れ,炭酸カルシウムの割れあるいは炭酸カルシウムと母材のはく離,繊維と母材とのはく離あるいは繊維の引抜き,繊維破断はそれぞれ80〜180,240〜450,180,250〜400KHzが対応することがわかった。 3.GFRPの破壊機構を識別しやすいように作成した,エポキシ樹脂を母材とし,ガラスロービングを一方向,クロス方向あるいはガラス平織物で強化したモデル板の破壊過程で発生したAE信号と巨視的あるいは微視的破壊過程を観測した結果,母材の割れ,繊維と母材とのはく離,繊維破断はそれぞれ30〜80,260付近,390KHzが対応する。また,平織物を強化材とするものは,母材の割れ,はく離,繊維破断の他に,縦糸が直線化するときの横糸との摩擦があり,その摩擦は550KHzが対応する。 以上のように,この研究により複合材料の破壊機構がAE波の周波数解析により解明できることがわかった。
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