配分額 *注記 |
24,400千円 (直接経費: 24,400千円)
1986年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1985年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1984年度: 21,600千円 (直接経費: 21,600千円)
|
研究概要 |
有機化合物の絶対構造を、X線結晶解析法と円二色性法を組合せて決定した。異なった複数の発色団を持つ非縮退系に対して、円二色性励起子法の適用性を確立し、アントラセン発色団を持つトリプチセン系化合物,ドラスタン系ジテルペンであるイソアミジオール,稲のイモチ病に対する自己防御物質不飽和ヒドロキシ酸,格間位に保護されたヒドロキシメチル基を持つ光学活性Wieland-Miescher・ケトン類緑体,発癌性化合物benzo〔e〕pyrene誘導体,光学活性2,3-ジ置換スピロシクロプロパン-1,9'-フルオレン誘導体の絶対構造を決定した。また、2,2'-スピロビベンツ〔e〕インダン誘導体,光学活性ステロイドCD環合成の中間体の絶対構造をも決定した。さらに、鎖状グリコール系にジベンゾエート法が適用できることを明らかにし、鎖状グリコール系の絶対構造決定法を確立した。 天然物には、ねじれたパイ電子共役系を持つ化合物が多くある。本研究では、このような系の絶対構造決定に対して、パイ電子SCF-CI-dipole velocity 分子軌道法によるCDスペクトルの理論計算が非常に有用であることを明らかにし、ある種の苔類の生産するアズレン化合物の不安定な生合成前駆体ジヒドロアズレンの絶対構造を、共役パイ電子系のCDを計算して決定した。また、理想的なモデル化合物を合成し、CDスペクトルを比較して計算結果の正しいことを証明した。この方法を応用して、新規光学活性トロポノイド系スピロ化合物,沖縄産海綿から単離された強心活性黄色色素 halenaquinol,立体障害のため分子不斉となっている光学活性オレフィン ciS-およびtrans-4,4'-biphenanthrylidene類の絶対構造を決定できた。CD法とX線法は互いに相補的である。ジヒドロアズレン系モデル化合物の光学活性合成中間体の絶対構造をX線結晶解析によって決定し、CD法と矛盾のないことを証明した。
|