研究概要 |
フッ化グリコシルが優れたグリコシル化剤であることが判明した(向山ら)ので、我々はI-OH糖誘導体をヘキサフルオロプロペン-第二アミン付加体と処理する簡便なフッ化グリコシルの合成法を開発した。これらのフッ化グリコシルとエノールトリメチルシリルエーテル,シアノトリメチルシラン,およびアリルトリメチルシランとレイス酸存在下で処理し、それれぞれ相当する【C!_】-グリコシル化合物を高収率で得た。これらの結果をもとにグリコシル化反応の立体化学および機構を考察した。 稀釈滴下法により2'-デオキシリボヌクレオシドと塩化アロイルから5'-アロアートが高収率高立体選択的に得られた。得られた5'-アロアートは通常の方法により、効率よく2',3'-ジデオキシリボヌクレオシドに導びくことが出来た。このアシル化法は、リボヌクレオシド類に対しても有用で、使用する試薬の量によって、それぞれ5'-アシラートあるいは2',5'-ジアシラートが選択的に得られ、さらに2',5'-ジアシラートはワコーゲルC-300で処理することによって3',5'-ジアシラートに変換された。これらのジアシラートは常法によって3'-および2'-THP誘導体に変換された。これらのTHP誘導体はオリゴリボヌクレオチド類合成の鍵中間体でありこれらを用いて2'-5'および3'-5'リン酸ジエステル結合を有する、11量体におよぶ一連のオリゴリボヌクレオチドを合成した。このような合成が可能になったのは液相法と固相法の両者の長所を備えた4-(2-ヒドロキシスルホニル)ジヒドロシナマートアセチルセルロースを支持体として開発したことによるもので注目に値する。さらに、糖類およびヌクレオシド類水酸基の位置選沢的なフェニルカルバモイル化,メトキシメチル化,およびトリイソプロピルシリル化法,およびリボヌクレオシド類の核酸塩基の保護法なども開発した。
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