配分額 *注記 |
29,800千円 (直接経費: 29,800千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1984年度: 16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
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研究概要 |
本研究課題実施により達成された成果は以下の通りである。(1)高歪系シクロプロペンを含む環状ビ-,トリ-,およびテトラカリセンを合成し、その電子構造を検討したところ、これらはいずれも芳香族性に基づく大きな安定化を受けていること、また、その安定化に各カリセンユニットの分極が重要に寄与していることが明らかとなった。(2)電子供与性ラジアレン類は有機機能性材料作成用の構成成分として期待されるので、1,3-ジチオール基を有する〔4〕-および〔6〕-ラジアレンの合成を行ない、これらが合成金属用の有効な電子供与体であることを示した。また、シクロプロパン環の平面性を利用してチオピラニル基を有する〔3〕ラジアレンの合成に成功したので、これらの合成金属用電子供与体の適用性について検討中である。(3)協奏的な光電子環式反応によるオレフィン類並びに芳香族の原子価量性は逆過程が熱禁制の場合が多くP型フォトクロミズムを得る一つの有力な方法である。ノルボルナジエン/クアドリシクラン系はその典型的なものであるが、本研究では母体システムにおける欠点(長波長領域で吸収がない事、光過程の低い量子収率)を改善すべくドナー・アクセブターノルボルナジエン(DA-NBD)/クアドリシクラン(DA-Q)系を設計合成した。DA-NBDは可視領域で電荷移動に基づく吸収帯を有し、光照射で有効にDA-Qを与えた。さらにDA-NBDをポリメタクリル酸メチルにドーピングしたフォトクロミックフィルムを作ったが、これは繰り返し耐久性に優れていることを見出した。(4)もう1つのフォトクロミック系としてナフタレン,イソキノリン,アントラセンを1,2,4-トリ-t-ブチル導入、1,2,3-トリ-t-ブチル導入により修飾し、対応するバレンへの光原子価異性に基づく典型的なP型フォトクロミック系の構築に成功した。長波長光での感受性もアントラセンで450nmに及ぶ。
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