研究課題/領域番号 |
59430019
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野桜 俊一 阪大, 理学部, 教授 (90028085)
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研究分担者 |
古江 正興 大阪大学, 理学部, 助手 (30028245)
森島 洋太郎 大阪大学, 理学部, 講師 (70028249)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
21,100千円 (直接経費: 21,100千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1984年度: 16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
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キーワード | 両親媒性高分子電解質 / 光誘起電子移動反応 / 電荷分離 / 局所静電場 / 疎水性相互作用 / 組織構造 / 無衝突電子移動 / 電子移動理論 / 両親媒性高分子電解貭 / クロモホア / 分子設計 / 励起状態自己失活 / 静電ポテンシャル / クロモホア個室化 / 疎水性ミクロドメイン |
研究概要 |
疎水性のクロモホア(多環芳香族や有機色素)と解離基とが主鎖に沿って配列している両親媒性高分子電解度は水溶液中でミクロ相分離したドメイン構造を形成する。ドメイン内のクロモホアは高分子イオンで形成された強い局所電場内に置かれるために、光誘起電子移動反応に方向性が生じ、電荷分離が著しく促進されることを見い出した。高分子中におけるクロモホアの組成、配列などが、光誘起電子移動反応にもたらす効果をナノ秒レーザーホトリシスにより詳しく調べた結果、水溶液中における高分子の組織構造が反応場の効果として極めて重要な要因であることを見い出したので、両親媒性高分子電解質の構造組織化について詳しい研究を行った。その結果、構造の組織化は疎水性相互作用に基づいて起こり、π電子系から成る疎水基は、α電子系から成る疎水基に比べ組織化しやすい傾向があることを認めた。熱力学的な検討の結果、α電子系に比べ、π電子系の疎水基間では立体適合性が良いため疎水性相互作用が有利になることがその原因であることを明らかにした。更に、光化学的に不活性な疎水基残基(例えばフェニル基)から成る両親媒性高分子電解質の組織構造内にクロモホア(例えばフェナントリル基)を孤立化することによりクロモホア間の相互作用を制限し、励起状態の自己失活を抑制すると同時に、系内に加えた電子受容体(または供与体)との間での基底状態相互作用を抑制し、長距離無衡突電子移動系を実現することに成功した。レーザーホトリシスによる研究の結果、送電子移動反応は正方向電子移動反応に比べて5〜6桁も遅いという事実を見い出した。これは、天然の光合双系の初発電子移動過程の電荷分離効果に匹敵し、マーカスラの電子移動理論の予言する"inverted region"が実現していると考えられる。
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