研究課題/領域番号 |
59440012
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
蚕糸学
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
朝倉 哲郎 東京農工大学, 工, 助教授 (30139208)
|
研究期間 (年度) |
1984 – 1985
|
研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
|
配分額 *注記 |
27,000千円 (直接経費: 27,000千円)
1985年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1984年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
|
キーワード | 絹フィブロイン / 家蚕 / エリ蚕 / 多核種NMR / ヘリックス-コイル転移 / 酵素固定化材料 |
研究概要 |
液状絹及び絹糸の構造ならびに絹の生合成機構の研究は、絹産業が我が国中心に発展してきたこともあり、研究の中心は、我が国にあり、これまで数多くの成果が蓄積されてきた。しかしながら、本課題において、研究手段として用いた核磁気共鳴NMR法は、絹に関して、極めて多くの分子レベルでの詳細な情報を与えると同時に、更に蚕の易動部分、例えば絹フィブロインを生きたままで、観測することができる等、従来の研究手段では考えられないような独創的な研究を可能にした。その結果、アメリカ化学会誌、日本蚕糸学会誌等に発表した多数の成果を挙げ、本課題の目的を達成することができた。 以下に得られた成果の一部を記した。 1.従来、家蚕絹の結晶構造として、構造既知のSilk【II】型と構造未知のSilk【I】型が報告されてきたが、【^(13)C】CP/MASNMR,コンホメーションエネルギー計算,X線回折等の結果を総合的に解析し、新らたにSilk【I】型構造モデルを、提案することができた。 2.家蚕と野蚕(エリ蚕)絹の溶液構造を、多核種NMR法を用いて比較検討し、その違いが、特に、後者のアラニン連鎖の存在に起因していることを示し、ヘリックス-コイル転移に関する統計的取り扱いを基礎に、それらの構造特性を明らかにした。この知見をもとに、絹を酵素固定化材料として用い、絹が従来の酵素固定化料料に比較して、極めて優れていることを明らかにし、今後のバイオ材料への絹フィブロイン利用の基盤を確立した。 3.【^(13)C】ラベル前駆体ならびに光合成により【^(13)C】ラベルした桑葉を用い、【^(13)C】NMR法により、生きた蚕について、直接、絹フィブロインが5令期に蚕体内で作られる様子を明らかにし、同時に、5令期初期の蚕の【^(31)P】NMRピークが、蚕の生理状態を反映することを明らかにし、それが最終の飼育成績の目安となることがわかった。
|