研究課題/領域番号 |
59440030
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
今井 大 山形大学, 医, 教授 (30045603)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1984年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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キーワード | リンパ濾胞 / 胚中心 / 樹枝状細網細胞 |
研究概要 |
リンパ濾胞内DENDRITIC RETICULUM CELL(DRC)の起源については、諸説があり、不明であった。著者らは第一にこの点を明らかにするため、リンパ節リンパ濾胞とリンパ節外リンパ濾胞につき、動物を用い個体発生の立場から検討した。 結果:ラットリンパ濾胞はリンパ節内、節外に拘らず、2次濾胞の形成には1次濾胞が先行する。このような濾胞形成過程において、DRCはリンパ濾胞の発達にともなって、その場の間葉系細胞が変態し、銀線維と密着しながら網状構造を形成している。なかでも、1次小節から2次小節へと発達するにつれて間葉系細胞はDRCとしての形態を完成する。一方、免疫複合体捕捉機能はDRCの周囲にリンパ球が集合する時期頃より出現し、1次小節の形成とともに明瞭になる。そして、かかる1次濾胞内ではDRCが存在している場に一致して、リンパ球の芽球化現象がおこり、ここより次第に芽中心が発達してくる。芽中心が完成し、2次小節の細胞配列に極性が見られるようになると、免疫複合体捕捉細胞は芽中心の明調部から被殻にかけて限局してくる。その形態は細胞膜にdesmosome様構造を有し、細胞膜に複雑な迷路様構造を形成しているDRCである。第2に、以上の動物実験に対比しながら、人間におけるDRCの性状を検索した。検索材料は正常リンパ節、慢性反応性リンパ節炎、自己免疫疾患時に出現する局所リンパ濾胞、悪性腫瘍時の局所リンパ濾胞等である。 結果:検索したいずれのリンパ濾胞内にも、DRCに対して特異的なモノクローナル抗体であるDRC1で、陽性像を示す細胞が認められた。特に、これらDRC1陽性細胞のうち、芽中心の明調部から被殻にかけて存在し、迷路様構造を示す細胞、即ち、DRCに一致して、補体及び補体レセプターが確認された。かかる所見はDRCの免疫複合体捕捉機能に、補体及び補体レセプターが大きな役割を演じているものとみなされた。また、著者らはDRCの分離に成功しており、現在、単離細胞を用い、さらに詳細な分析を試みている。今後は、分子生物学的手技を駆使することにより、DRCの本態を究明する予定である。
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