研究概要 |
遺伝子組換えの技術を用いて大腸菌のプラスミド(PBR 322,PVC12)に水痘ウイルスのDNAの断片をクローニングしゲノムの末端以外のほぼ全領域をクローニングした。 水痘ウイルスゲノムを各種制限酵素で切断し、株間の差異を比較してみるとHpa【I】のF,G,KやEcoR【I】-P,Kpn【I】-E,Sal【I】-Eなどの切断において分子量の変化がみられた。この変動をクローニングされた断片をプローブとして用い サザーンハイブリッド形成実験を行い解析した。その結果 3つの変動しやすい所 即ち変動領域(Variable Region VR)をマップすることができた。すなわちVR【I】は変動の幅±150bpでマップユニットの0.16に位置し、VR【II】は幅±300bpで0.35付近にあり非常に不安定な領域であった。VR【III】は±50bpで0.95の位置にあり比較的安定な領域であった。さらにVR【I】,【II】,【III】とも相互に塩基配列の相同性もないことが明らかになった。決定された塩基配列のデーターからVR【I】は42bpのくり返し構造VR【III】はそれとは異なった27bpのくり返し構造からなっていることが明らかになり株によりその単位が2〜10コの中で変動していることがわかった。 水痘ウイルス糖蛋白gp1(分子量115K,ゲノムポジション0.55) gp2(83-94K,約0.9) gp3(64K,0.45) gp5(55K,約0.9)のうちgp1以外のものに対するモノクローナル抗体を多数分離し解析に用いた。gp3に対するモノクローナル抗体を用い抗原を精製しこの抗原を家兎に免疫しモノスペシフィック抗体を調製しこれを用いgp3の機能を解析した。その結果モノクローナル抗体では検出できなかった中和能がモノスペシフィック抗体では出現しgp3も中和に関与することが明らかとなった。さらにgp3は単純ヘルペス糖蛋白と免疫学的に交又するが中和反応では交又せず両者は同一の抗原性を示すドメインを有するが中和に関してはそれぞれ独自のドメインをもつことがわかった。
|