研究概要 |
1)無血清培養:マウスおよびヒトの造血細胞および白血病細胞について無血清培養が出来た。【◯!1】マウス胎児肝細胞の赤芽球コロニー形成の系は鋭敏なエリトロポエチン測定系として応用可能である。【◯!2】ヒト白血病株細胞【ML_1】および【HL_(60)】細胞は無血清条件下での増殖性が正常ヒト骨髄細胞とは異った分子種による調節機構が仂いていることが判明した。フラクションコレクター・二次元電気泳動装置が役に立った。 2)単細胞培養:購入した細胞微細分離装作装置を使って5FU処理マウス幹細胞コロニーから個々の幹細胞をつりあげ再培養した。この際培養液として無血清培養に高度に純化した【IL_3】およびエリトロポエチンを加えた。その結果【IL_3】のみでは顆粒球マクロファージ,好酸球,巨核球等のコロニーが出来るが、これに純化エリトロポエチンを加えてはじめて赤芽球コロニーが出来ることがわかり、造血細胞は複数の因子により2段階に調節されていることがうかがわれた。 3)染色体・形態同時分析を各種疾患患者からとった造血細胞のコロニーにつき行った。このうち染色体異常のある慢性骨髄単球性白血病,若年性骨髄性白血病で、世界ではじめて、多能性幹細胞の異常であることを直接証明しえた。この他、骨髄線維症,赤白血病,等でも同様にクローナリティの証明が出来た。落射蛍光装置が役立った。 4)ヒト巨核球コロニーは血小板成分により形成が抑制されることがわかった。本態性血小板血症でも同様の調節機構が仂いている。 以上の研究にクリーンベンチ・空調装置,細胞培養装置,自動洗浄機等は非常に役立った。 以上本研究は当初の目標をほぼ達成し、一部は更に予期以上の成果をあげることが出来た。今日この分野での研究が新しい転換期に来ており、本研究が将来に向っての重要な段階となっていると思われる。
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