研究概要 |
昭和59-60年度における研究実施計画に対する研究成果を要約すると以下の通りである。 (1):HerreraおよびThomasのカニューラを用いて、慢性膵胃瘻犬の作成にとりくんだ結果、手術手技の向上と術後の徹底したIVHによる管理により、常時4〜5頭の慢性膵胃瘻犬を保育することができ、意識下における膵外分泌動態の検索が可能となった。 (2):抗血清UT132を用いてCholecystokinin(CCK)のRadioimmunoassayに取りくんだ結果、高感度で特異的なCCKのRIAを確立することができた。本RIA系は血晉並びに十二指腸粘膜内のCCK-33を捉えており、StandardのID50は10fmol/tube,90%fallは1fmol/tubeとextractionをしないでなおかつ感度の高いRIAであるところに特色があり、国際的レベルにあると言える。 (3):合成消化管ホルモンであるGastrin Releasing Peptide(GRP)、Neuromedin C,PYYおよびPHIの膵外分泌やCCK等の血中ホルモン動態に及ぼす影響、さらに膵血流への関与についても検索を進め、これらペプタイドの生物活性やその生理的意義に関する知見を得ることができた。 (4):慢性膵胃瘻犬を用いて十二指腸内ヘオレイン酸注入を行って、血中CCKレベルと膵液蛋白分泌の同時観察を施行したところ、両者は密接に関連した動きを示し、内因性CCKの膵液蛋白放出に対する生理的意義が明きらかになった。さらに食餌刺激後に放出されるCCKの膵液蛋白分泌に対する生理的役割も明きらかになりつつある。 (5):ヒトにおいて経口摂取後のホルモン動態を検索した結果、CCKは一相性のPPは2相性の放出反応を示した。現在消化器外科における臓器切除後の血中ホルモン変動を検索中であるが、胃切除後や膵頭十二指腸切除後において興味あるホルモン変動が観察されつつある。 (6):酵素抗体法を用いて消化管ホルモン産生細胞の局在に関する検索を施行した結果、十二指腸粘膜におけるCCK細胞および膵臓におけるPP細胞の局在を明きらかにし得た。現在VIP,Secretin,GIP等の局在についても検討中である。
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