研究課題/領域番号 |
59440064
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 健次郎 京大, 医学部, 教授 (20025620)
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研究分担者 |
村地 孝 京都大学, 医学部, 教授 (10089104)
村川 雅洋 京都大学, 医学部, 助手 (90182112)
新宮 興 京都大学, 医学部, 助教授 (90093252)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
29,500千円 (直接経費: 29,500千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1984年度: 25,000千円 (直接経費: 25,000千円)
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キーワード | 麻酔薬 / 笑気 / 急性耐性 / 脳電気活動 / 鎮痛作用 / 抗痙攣作用 / ドパミン / カテコラミン |
研究概要 |
笑気を長時間吸入していると笑気の中枢神経作用が減弱する現象、即ち急性耐性が発現することを我々は以前に報告した。本研究はこの現象を電気生理学的に明らかにし、発現の機序を神経化学的に検討することが目的である。 1.電気生理学的検討:脳波像(ネコ)へ笑気が及ぼす作用は2-3時間で減弱し、睡眠-覚醒の体内時計の作用が表出した。ハロセン麻酔下での笑気付加により脳波(ヒト)に徐波が出現したが徐波は2-3時間で減弱した。エンフルレン麻酔下での笑気付加により脳電気活動(ネコ)は30分を頂点として増加したが以後徐々に減少した。エンフルレン痙攣に対する笑気による抗痙攣作用(ネコ)は30分を頂点として以後減弱したが統計学的には有意ではなかった。しかし、笑気付加を中断した後には反跳現象として易痙攣誘発度が増加した。エンフルレンによる体性誘発電位増幅に対する笑気の抑制作用(ネコ)は60-90分を頂点として以後減弱した。笑気による鎮痛作用(ラット)は2時間の笑気吸入の間変化しなかった。ビククリン痙攣に対する笑気の抗痙攣作用(ラット)は約60分の周的変動を示した。扁桃核燃え上がり痙攣に対する笑気の抗痙攣作用(ネコ)は30-60分を頂点として以後減弱した。以上の結果は、動物の種と観察した笑気の中枢神経作用によって急性耐性形成の時間的経過が異なり、作用によっては急性耐性の形成も認められないことを示している。これは中枢神経作用毎に異なった神経回路と神経伝達物質を介して作用が発現するためであると考えられる。 2.神経化学的検討:笑気吸入によりラットの脳内ノルアドレナリン,ドパミン,及び5HT濃度は変化しなかったが、DOPAC及びHVAは30分後を頂点として増加し、以後減少した。しかし12時間後に再び増加した。従って、急性耐性形成とこれら脳内ドパミン代謝の変化とは直接の相関性は認められなかった。
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