研究課題/領域番号 |
59440074
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
荻野 誠周 (1985) 京都大学 (50115812)
塚原 勇 京都大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1985年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1984年度: 13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
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キーワード | 網膜ジストロフィー / クロロキン / フェノチアジン / 網膜ドルーゼ / プロスタグランジンD合成酵素 / アデニルシクラーゼ / グアニルシクラーゼ / 網膜色素上皮細胞 |
研究概要 |
ヒト網膜ジストロフィーは、臨床所見についてはよく知られているが、発症病理については未だ不明である。網膜ジストロフィー実験モデルの研究が必要な所以である。我々は数種の網膜ジストロフィー実験モデルを作りその病態を検討した。 【◯!1】クロロキンを白子熱帯魚コリドラスに投与してクロロキン網膜症を起こすと、神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞にまず膜様封入体が出現するが細胞の崩壊は起こらない。ついで視細胞に封入体が出現して細胞の変性崩壊が起こるが、網膜色素上皮細胞は網膜変性の最終段階まで変化が少なかった。即ちクロロキン網膜症では視細胞の直接障害が生じることを明らかにした。 【◯!2】フェノチアジン系薬物の存在下でニワトリ胚網膜色素上皮を培養すると、微絨毛が著しく細長くなりかつ蜂巣状の変化を生じるとともに貧食活性が著しく低下した。同様の変化がカルモジュリン拮抗剤あるいはサイトカラシンBによっても生じた。フェノチアジン網膜症の発症機序に網膜色素上皮細胞微絨毛のアクチン線維の破壊が関係していることが示唆された。 【◯!3】重層した培養ニワトリ胚網膜色素上皮にラテックス粒子を貧食させると、上層細胞基底部からの粒子排出が観察された。消化しえない組織片の排出蓄積が原因と推定される網膜ドルーゼ発生機構の裏付けが得られた。 【◯!4】ニワトリ網膜色素上皮細胞はプロスタグランジンD合成酵素活性をもつが、神経網膜には活性がなかった。プロスタグランジンDはサイクリックAMPによる貧食阻害に拮抗する特異的なプロスタグランジンであった。この特異性の一致は網膜色素上皮細胞の機能にプロスタグランジンDが関与していることを強く示唆した。 【◯!5】ラット網膜色素上皮細胞の微絨毛膜にサイクリック AMPおよびサイクリックGMP合成酵素活性が局在することを明らかにした。貧食活性がサイクリックAMPとサイクリックGMPによる陰陽制御を受けるとする我々の仮説によく一致するものであった。
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