配分額 *注記 |
23,000千円 (直接経費: 23,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1984年度: 21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
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研究概要 |
硬組織石灰化機構解明の目的で、3年間に亘り、以下の微細形態学的研究を行った。1:液体ヘリウムによる急速凍結置換法を用いた超微細構造学的,分析電顕的研究,2:アルカリホスファターゼ(ALPase)活性局在と基質小胞性石灰化に関する細胞化学的研究,3:ニワトリ腱の骨化に伴う石灰化機構の微細構造学的研究,4:鉛トレーサー実験による初期石灰化ならびに添加的石灰化機構の電顕的研究,5:異所性石灰化に関する微細構造学的研究,6:滑面小胞体(SER)とミトコンドリアの硬組織細胞における立体微細構造と石灰化。その結果、急速凍結置換法(1)では、従来の化学固定による基質小胞性石灰化が人工産物ではないことを確認し、しかもそこに出現する結晶が0.2〜0.25mmの格子像を示すこと、Ca/p値が0.6〜1.67まで連続的に変化することを明らかにした。一方、頭頂骨の初期石灰化部位におけるALPase活性局在は(2)、分化初期の骨芽細胞では細胞膜全体と、この時期に形成された基質小胞膜に認められた。しかし骨形成の進行に伴い、骨芽細胞のALPase活性局在は極性が顕著になり、基質小胞の形成もみられなくなった。基質小胞の形成と石灰化については、ニワトリ腱の骨化部位を用いて観察した(3)。その結果、基質小胞の形成が線維軟骨細胞の突起からの発芽と細胞変性によること、また添加的石灰化は石灰化基質小胞に近接した膠原細線維の変性部位から生ずることを明らかにした。同様の所見は鉛トレーサー実験(4)によっても経時的観察によって確認された。さらに、酢酸鉛投与による異所性石灰化実験(5)も、膠原細線維中への鉛の沈着と引き続いて起る石灰化が膠原細線維の形態変化を伴うことを明らかにした。一方、硬組織形成細胞の石灰化に果す役割については、特徴的に発達しているSERの立体徴細構造を観察し、そのCa輸送,調節機構,あるいは基質修飾機構との関連性について考察を行った。
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