研究課題/領域番号 |
59440077
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 正 東北大, 歯学部, 教授 (50005021)
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研究分担者 |
岩見 憙道 東北大学, 歯学部, 助手 (60005030)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1984年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | Pyruvate formate-lyase / 嫌気的糖代謝 / Streptococcus mutans / Strep-tococcus sanguis / ウ蝕 / 酵素の型変換 / 酵素の酸素感受性 / フッ素 / 口腔レンサ球菌 / 糖代謝 / 酸素感受性酵素 / 歯垢 / 酸産生 |
研究概要 |
歯垢中の微生物が産生する酸はウ蝕の直接の原因となるが、これら微生物の糖代謝は酸素によって著しい影響を受ける。しかし、歯垢の環境条件は食事などで著しく変動するので本研究計画では一度傷害された糖代謝がどのようにして回復するかを検討し以下のことを明らかにした。 歯垢の主要酸産生菌であるStreptococcus sanguisの糖代謝はウ蝕誘発性の高い歯垢微生物Streptococcus mutansのものと比べ酸素の影響を受けにくかった。この原因はS sanguisが糖欠乏の状況下では酸素感受性の著しく高い糖代謝のキイ酵素Pyruvate formate-lyaseを一時的に酸素感受性の低い不活性型酵素(R型酵素)に変化させ、嫌気的に糖が利用できるようになると再び活性型に戻す機構を持っているためと判明した。S・mutansの糖代謝活性が酸素にたいし感受性が高いのは、この菌ではこのような機構を持っていないためであった。活性型Pyruvate formate-lyaseは酸素にふれると非可逆的に不活性化されてしまうので、この酵素を酸素傷害からまもるのには歯垢の深部のような高度の嫌気条件下で糖の供給が中断されたときにはR型酵素に変換されなければならないことが明らかとなった。S.sanguisをグリコースあるいはソルビトールとインキュベートすることによって、R型酵素は活性型へ変換されるが、水素を2分子余分に持つソルビトールの方がより効果的であった。フッ素はウ蝕の予防に使用されているが、そのウ蝕予防効果は歯垢微生物よりはむしろエナメル質へのものと考えられていた。当初予期されなかったが高度嫌気条件下ではフッ素はこれまで考えられていた以上に歯垢微生物(S.sanguisなど)の糖代謝を効果的に阻害することが判明した。高度に嫌気的な歯垢深部でつくられた酸こそがウ蝕の発生に直接関与することを考えるとき、フッ素のウ蝕予防に歯垢微生物の糖代謝阻害はかなり重要な働きをしているものと考えられた。
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