研究課題/領域番号 |
59440093
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武部 啓 京都大学, 医, 教授 (10028318)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
17,500千円 (直接経費: 17,500千円)
1985年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1984年度: 16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
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キーワード | アタキシア / テランジェクタシア / 電離放射線 / 胎盤抽 / 出物 / 疫学 |
研究概要 |
1.研究目的 電離放射線損傷は生体構成成分のすべてに非特異的に生じるが、細胞のDNAが生物効果の主な標的であることは確実とされている。DNAに生じた損傷は、生体のもっている修復機能によって、一部が修復される。しかし損傷の種類が限られている紫外線損傷にくらべ、DNAの電離放射線損傷は特異性が少ないため解析が容易でないとされていた。本研究はこれまで比較的研究が遅れているヒトおよび実験動物における電離放射線損傷の修復機構を次のような方法で解明することをめざす。第1に電離放射線に高い感受性を示すアタキシア・テランジェクタシア患者由来の培養細胞を用いて、電離放射線の致死効果と、突然変異誘発効果を比較し、修復機構の関与を明らかにする。第2にマウスの全身照射による障害を修復促進することができないかを、有効とされている胎盤抽出物を用いて調べる。さらにヒトの疫学的調査から、微量放射線に高感受性の集団が存在するかを調べる。 2.研究成果 アタキシア・テランジェクタシア患者由来の細胞は、電離放射線に対して正常細胞の約3倍の高感受性を示した。しかし、電離放射線による突然変量の誘発は、線量当りで、正常細胞と同じ頻度でみられ、生存率で割ると、正常細胞より起りにくいことがわかった。これはアタキシア・テランジェクタシア細胞ではDNA上の電離放射線損傷が、致死効果をもたらすものと、突然変異をもたらすもので異なる可能性を示唆し、修復機構が関与しているとするよりも、DNA複製(生存に必要な)の障害があることを意味すると考えられる。マウス全身照射に対する胎盤抽出物の効果は、従来照射後投与でも有効で修復促進と考えられていたが、同一方法で全く効果なく、これまでの報告を否定する結果となった。疫学的研究では微量放射線の効果と考えられるデータは確認できなかった。
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