研究概要 |
産業・工業のあらゆる可動部分に用いられる電動機、とりわけ、牢な構造を持ち保守・点検が容易な誘導電機はパワーエレクトロニクスに基づく駆動回路技術の発達、ベクトル制御方式のごとき新しい制御方式の出現ならびにマイクロプロセッサ利用環境向上による新制御方式実現可能性の増大といった状況下にある。制御システムの高性能化、高信頼度化に伴い設計過程の複雑化と共に設計工程の短縮,設計経験の蓄積が必要とされるに至り計算機援用設計が重要不可欠となっている。本研究では精密交流サーボ系を対象とした計算機援用設計について以下の研究を行った。 1.精密交流サーボ系の設計理論に関する研究 計算機援用設計に基づく交流精密制御実現のための制御対象モデル、制御方式モデル、制御法則の確立を行った。非線形フィードバックを施すこと(非線形従属電源の付加)により外部特性を線形にし、しかる後に最適制御則を与える方法ならびに制御系の頑健性や大域性に重要な感度解析手法、安定度解析手法をも与えた。 2.計算機援用設計(CAD)手法に関する研究 誘導電動機,駆動回路,制御系に対し個別にあるいは複合的に電気回路モデル,ブロック線図モデル,ユーザ定義関数モデルが自由に使用できる様な支援道具を設計・試作した。また、人間・機械インターフェイスを高めるためグラフィックスによる入出力機能や検証機能についても研究を行った。 3.精密交流サーボ計算機援用設計とその検証 試作の計算機援用設計支援道具を用いてベクトル制御方式に基づく誘導電動機位置制御系を設計し、試作実験装置による検証を行い、有効性が確認された。
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