研究概要 |
圃場整備や農業水利など広域を対象とする農業土木においては、域の景観と深くかかわる事業を行なっているが、一般土木事業と同様景観に関する評価手法については末だ模索の域を出ていない。事業の計画設計における景観評価のシステムモデルとして、どのような手順で景観を考慮した事業計画を立てるべきかを考察してきた。事業前後の景観の変化をとらえる方法としてパソコンを用いる方法,大型計算機を用いる方法,イメージスキャナやビデオコーダを用いる方法及びそれらの応用包法について検討した。また景観評価のシステムとしては事業計画段階を中心にどのような理念の下にどのような方法で評価検討を行なうべきかについて考察を加えた。 パソコンを利用した方法としては等高線表示による三次元的表示法を作成し、デジタイザによる作業能率の高いデータ入力処理法を検討した。メッシュ法による地形の表示についてもデータの読み取りが煩雑な点に難点があるが、等高線データからの自動計算処理をパソコン上で行なった。農地造成地区で造成前後の地形変化をこの方法で比較した。大型電算機による表示法としてはIGLによる地形の立体表示,道路河川等のはめ込み操作,像の回転,視点位置の移動による全体像の変化等の検討を行なった。また、現況データの入力法としてイメージスキャナ及びカメラインターフェースによる写真入力処理法及びビデオカメラによる映像とパソコン上に表示した新設構造物画像との合成評価法についても検討した。 現在急速な進展がみられる画像処理技術を景観の評価と修景作業にどのように応用していくかについても検討しておく必要があり、精巧な画像モデルが要望される一方で、景観への意識が十分でなく、経費的な制約も大きい状況の下での作業モデルについて、事業実施,計画設計,さらに地域総合計画の三段階に分けて考察を行なった。
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