研究概要 |
本研究では下記の1-4に示す研究成果を得た。 1.トリメチルアミン(TMA)およびトリエチルアミン(TEA)のリドベルグ状態を経る多光子イオン化(MPI).TEAのリドベルグ状態を経る2+1MPI過程を、色素レーザーを用いて励起し、得られる光電子の運動エネルギーを測定して研究した結果、TEAの【S_2】状態のvibrationless状態のエネルギーを知ることができた。ついでTMAについて、Nd:YAGレーザーの2倍波のanti-Stokes光を用いて1+1光子イオン化を行い、光電子の運動エネルギーを測定した。TMAを【S_2】の振動励起状態に励起したとき、その状態からの直接イオン化と、内部変換を経て生じた【S_1】状態からのイオン化の両過程が競争的に起っていることを知ることができた。 2.光三重共鳴法より研究した【I_2】の高励起状態からの光解離.【I_2】分子を3光子(3波長)吸収法を用いて高エネルギー反発状態に励起し、その状態からの解離で生じた【I^*】原子の発光をモニターすることにより、【I_2】の3光子励起で得られた1u反発状態の一つのポテンシャルエネルギー曲線を決定した。 3.チオホルムアルデヒド(【H_2】CS)のリドベルグ状態を経るMPI.【H_2】CSの【^1B_2】(4s←n)リドベルグ状態を経る2+2光子MPIスペクトルを、色素レーザー(423〜426nm)を用いて測定し、その回転構造のシミュレーションを行った結果、0-,P-,Q-,R-,S-枝のうちでQ枝の強度が相対的に小さく現れることが判り、これは共鳴中間状態における分子のalignmentに帰せられた。 4.金属基板のレーザー照射による有機化合物のイオン化.この実験で有機金属化合物のイオン化を観察し、その生成機構として基板から飛び出す電子によるイオン化を結論した。
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